こんにちは!
今回は塩害の補修・補強工法についてまとめてみます。
最後に問題もあるので、良ければ解いてみてください。
それではいってみましょう!
塩害の劣化過程と変状
塩害の特徴的な劣化形態は、鉄筋に沿ったひびわれ、錆汁、かぶりコンクリートの剝離・剥落が一般的です。
塩害劣化は、潜伏期→進展期→加速期→劣化期の過程で進行し、腐食開始をもって潜伏期から進展期に、ひびわれ発生時で進展期から加速期に移行します。また、加速期後期から部材の耐荷力やじん性、剛性が低下します。
具体的には次の通りです。
潜伏期:かぶり(鋼材位置)の塩化物イオン濃度が腐食発生限界濃度に達するまでの期間。外観上の変化は見られない。
進展期:鋼材の腐食開始からひびわれ発生までの期間。腐食発生限界塩化物イオン濃度以上、腐食が開始。
加速期前期:腐食ひびわれ発生により腐食速度が増大する期間。腐食ひびわれが発生し、錆汁が見られる。
加速期後期:腐食ひびわれが多数発生、部分的な剝離・剝落が見られる。腐食量が増大。
劣化期:腐食量の増加により耐荷力の低下が顕著な期間。ひびわれ幅が大きくなる。剝離・剝落が見られる。変位・たわみが大きい。
補修・補強工法
次に、補修・補強工法についてです。
塩害と判断される構造物に対して、主に劣化因子の遮断と鉄筋の防食対策を目的に補修を施します。
劣化の進行度に応じて、補修は以下を標準として適切な方法を選択します。
表面処理(表面被覆、表面含浸):進展期~加速期前期
電気化学的防食:進展期~加速期前期
断面修復:加速期後期~劣化期
補強(FRP接着、外ケーブル、巻立て、増厚):劣化期
また、目的別に見る補修・補強工法は次の通りです。
鋼材の腐食因子の供給量を低減:表面処理
鋼材の腐食因子の除去:断面修復、電気化学的防食(脱塩)
鋼材の腐食進行を抑制:表面処理、断面修復、防錆処理、電気化学的防食(電気防食)
耐荷力を向上:FRP接着、断面修復、外ケーブル、巻立て、増厚
問題
それでは、最後に次の問題を解いてみましょう。
塩害環境下にある構造物を対象とした次の記述について、適当か、不適当か選択してください。
「鋼材の腐食開始から腐食ひびわれ発生までの期間において、劣化因子の除去を目的に、表面被覆を施した」
答えは下にスクロールしてください。

正解は不適当です。
表面被覆では劣化因子の除去はできないため、この場合、脱塩工法等が適切です。
それでは今回は以上になります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。