コンクリート診断士

【コンクリート診断士】弾性波法とは?超音波法、AE法、衝撃弾性波法、打音法について

こんにちは!

今回は弾性波法についてまとめてみます。

最後に問題もあるので、良ければ解いてみてください。

それではいってみましょう!

弾性波法とは?

弾性波法とは、コンクリート中を伝搬する弾性波により、コンクリートの内部情報を得る非破壊試験方法のことです。

コンクリート面に設置した発振子や衝撃入力装置によって内部に弾性波を発生させ、これをコンクリート表面の受振子で測定して、内部の欠陥の位置や寸法を測定します。

弾性波は異なる物質の境界面でそのエネルギーの一部が反射する性質を有しているため、コンクリート中にひびわれ、剝離箇所、空洞などが存在すると、その空気層との境界で反射して存在を知らせます。

弾性波法の特徴は次の通りです。

・ひびわれ、剝離、空洞(コンクリート内部および背面)を有する、どんなコンクリート構造物でも適用可能

・通常のコンクリートの弾性波伝搬速度の縦波は4000~4500m/sec、横波と表面波は2500~3000/sec程度

・コンクリート中の空洞部の背後にある欠陥(複数欠陥)、コンクリート表面からの深さより寸法が小さい欠陥、複雑な形状の欠陥などは検出が困難

周波数が高いほど、より小さい寸法の欠陥まで検出できる

周波数が低いほど、測定可能な対象物の寸法が大きい

弾性波法には、超音波法AE法衝撃弾性波法打音法があります。

それぞれの特徴については下記の通りです。

超音波法

手法:発振子から発射された弾性波を受振子で測定し、その伝搬時間と速度から内部の欠陥までの距離を測定する

利用周波数20kHz以上(超音波域)

特徴

周波数の高い弾性波ほど媒体中での減衰が大きいので、深い欠陥の検出には適さない

低周波数の場合検出深さは深いが検出精度は低い

・高周波数の場合、検出深さは浅いが検出精度は高い

粗骨材の多いコンクリートの方が伝播速度は大きくなる

密度が大きくなると超音波伝播速度も大きくなる

コンクリート強度が大きいほど超音波伝播速度は大きくなる

・振動子は、接触剤を用いてコンクリート表面に密着させる

※接触剤とは、グリセリンなどの材料のことです

AE法

手法:過去を上回る荷重が作用すると、ひびわれが発生する等により弾性波(カイザー効果)を検出することで、構造物のひびわれ発生の監視を行う

利用周波数20kHz以上(超音波域)

特徴

・新たに発生するひびわれは検出可能だが、既存ひびわれは検出不能

・ひびわれの開口幅、進展、発生位置の推定が可能

・主な適用対象は、供用中のコンクリート床板、柱、梁などの構造部材等

衝撃弾性波法

手法:ハンマーを使用してコンクリート表面を打撃し、これを受振子で測定する

利用周波数20kHz以下

特徴

・超音波よりも大きなエネルギーを有しており、媒体を伝搬するときの減衰が少ないため、深い欠陥の検出にも適する

部材厚さ内部欠陥背面空洞の有無欠陥までの距離を測定できる

打音法

手法:ハンマーなどによる打撃でコンクリート中に弾性波を発生させ、これが空気中に放射されたものを測定する

利用周波数20Hz~20kHz(可聴域)

特徴

・周囲の騒音の影響を受けやすい

・非接触のためコンクリート表面の影響を受けにくく、測定が簡便

問題

それでは、最後に次の問題を解いてみましょう。

普通骨材を用いたコンクリートの性質と超音波伝播速度との関係を示した次の記述が、適当か不適当か選択してください。

「ヤング係数が大きくなると超音波伝播速度は大きくなる。」

答えは下にスクロールしてください。

 

 

正解は適当です。

コンクリートが密実で健全であるほど、コンクリート中の超音波伝播速度は大きくなります。

したがって、コンクリートの密度が小さい場合や、空隙率が大きい場合には超音波伝播速度は小さくなります。反対に、ヤング係数が大きい場合は超音波伝播速度も大きくなります。

 

それでは、今回は以上になります。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。