コンクリート診断士

【コンクリート診断士】温度ひびわれとは?内部拘束と外部拘束について

今回は、温度ひびわれについてまとめてみます。

よろしければ最後までお付き合いください。

温度ひびわれとは

温度ひびわれとは、温度変化により生じるひびわれのことです。

温度変化が生じる要因としては、外気温の変化セメントの水和発熱が挙げられます。

主に、内外の温度差に起因するひびわれ(内部拘束)と、下端が拘束されて生じる貫通ひびわれ(外部拘束)があります。特に、試験では後者の原因に関する問題が多く出題される傾向にあるようです。

外部拘束ひびわれ

部材の温度降下時の収縮変形が既設コンクリートなどによって拘束されて発生します。

材齢がある程度進んだ後で断面を貫通する原因となります。

内部拘束ひびわれ

断面内の温度差によって発生します。

コンクリート打設後、初期の段階で部材表面に発生するひびわれの原因となります。

温度ひびわれの特徴

温度ひびわれが発生しやすい条件として、次のことが挙げられます。

マスコンクリートといわれる断面寸法の大きな構造物

早強性のセメントを使用している場合

単位セメント量が多い場合

また、乾燥収縮や温度変化によるひびわれは、部材が薄く周辺の他の部材の拘束を受けやすい壁・床・スラブなどに発生しやすいです。

調査方法

温度ひびわれの調査方法は、ひびわれの発生パターンがわかるように分布状態を図化し、ひびわれ幅を測定して明記します。

温度ひびわれは、温度変化に伴う温度伸縮を拘束されることで生じるため、拘束体にほぼ直角方向に生じます。低版に下端を拘束される壁状構造物では、壁を分断するように数メートルピッチで貫通ひびわれが生じ、ひびわれ発生パターンから原因を絞り込めます。

防止対策

温度ひびわれは水和発熱が主な原因です。

水和発熱を小さくするか、内部温度を抑制することが予防対策として有効です。

水和発熱を抑制する方法としては、低発熱性のセメントを利用する方法と、単位セメント量を低減する方法があります。

問題

それでは、最後に問題を解いてみましょう。

以下の文章は適当か、不適当か考えてみてください。

「マスコンクリートに生じた内部拘束温度ひびわれは、漏水を生じさせる可能性がある」

適当か、不適当か。

正解は下にスクロールしてください。

 

 

正解は、不適当です。

マスコンクリートの内部拘束による温度ひびわれは、部材の内部と表面部の温度差が原因で生じるひびわれであり、内部温度が高く表面部分の温度が低い場合に、内部のコンクリートの温度膨張が表面部分に引張応力を生じさせるメカニズムにより発生します。したがって、表面部分にひびわれが生じ、内部には進展しません。よって、部材を通過する漏水は生じにくいと考えられます。

ちなみに、「壁状構造物に生じたコールドジョイント」の場合、壁を貫通した不具合である可能性が高く、漏水が生じる可能性が高いです。

それでは、今回は以上になります。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!