コンクリート診断士

【コンクリート診断士】化学的腐食とは?概要と種類、特徴について

今回は、化学的腐食についてまとめてみようと思います。

化学的腐食とは?

化学的腐食とは、外部から化学的作用を受け、コンクリートが変質あるいは水和物が分解して劣化する現象をいいます。化学的腐食は、温泉地、酸性河川、下水道関連施設、化学工場や食品工場の排水施設などの構造物で発生します。主に酸、アルカリ、塩類、油類、腐食性ガスなどにより引き起こされます。

種類

酸による化学的腐食

酸による化学的腐食では、酸が強くなるほど(pHが小さくなるほど)浸食の程度は大きくなり、内部に向かって進行していきます。

メカニズムとしては、

  1. 表層部のセメント硬化体が軟化
  2. さらに結合力を失うと表層から脱落
  3. 表層部のセメント硬化体のみが洗われた状態となって骨材が露出
  4. さらに侵食が進行すると、骨材周囲のセメント硬化体が脆弱化し、骨材が欠落し始める

この繰り返しにより侵食が鉄筋まで到達すると、鉄筋を腐食させます。

なお、骨材に石灰石を用いたコンクリートでは、酸類によりセメント硬化体だけでなく骨材までもが溶解し、侵食は激しくなります。

また、酸類によるコンクリートの侵食程度は以下の条件により異なるものになります。

酸の種類:一般に濃度が一定であれば、有機酸よりは無機酸の方が、弱酸よりは強酸の方が侵食作用は大きい

酸の濃度と温度濃度および温度が高いほど、侵食作用は大きい

有機酸とは:酢酸、酪酸、ギ酸、乳酸、クエン酸など

無機酸とは:硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、炭酸など

 

アルカリによる化学的腐食

コンクリートはアルカリ性ですが、非常に濃度の高いNaOHには浸食されます。特に、乾湿の繰り返しがあると劣化が著しくなります

塩類による化学的腐食

硫酸塩が代表で、セメント中のCa(OH)₂と反応しせっこう(CaSO₄)を、せっこうがC₃Aと反応しエトリンガイトを生成し膨張します。

油類による化学的腐食

酸性物質を含まない鉱物油はコンクリートをほとんど浸食しません。動植物性油のように、多くの遊離脂肪酸を含有する場合には、酸として作用しコンクリートを浸食する場合があります。

腐食性ガスによる化学的腐食

塩化水素、フッ化水素、硫化水素、二酸化イオウなどの気体による侵食を言います。

問題

それでは、最後に○×問題を解いてみましょう。

「下水道コンクリートの化学的腐食において、環境温度は劣化の発生や程度に影響しない」

○か×か。

答えは下にスクロールしてください。

正解は×です。

今回は以上になります。

ありがとうございました。